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-ENVIRONMENT & ENERGY & ELECTRONICS-
-Thin Film Lab.-

薄膜材料研究室では,化学熱力学と固体物理に立脚した酸化物半導体薄膜形成ならびに光電変換素子(太陽電池)に関する研究と教育を行っています。限りある資源とエネルギーの有効利用,ならびに太陽電池による新規な再生エネルギー源の創出に取り組んでいます。


水溶液電気分解を利用した酸化物半導体薄膜の直接製膜に関する研究は年々急速に増加しています。電気化学製膜法を含む水溶液からの製膜法は,安全で環境負荷が小さく,製膜装置が非常に簡単で安価であり,膜厚や表面形態が制御しやすい,などといった多くの利点を有しています。


水溶液中での金属イオンの状態は,Marcel Pourbaixにより創案さた電位-pH図から予測することができます。この図ではある水溶液中の電極電位およびpHの下で,熱力学的に最も安定な化学種が示されているため,溶液組成や電極電位などの実験条件の指針を非常に効率的に立てることが可能となります。例えば,水または硝酸イオン還元による水酸化物イオン生成に伴うZnOの析出反応や,水の酸化による水素イオン生成に伴うAg2Oの酸化析出の原理を上に示します。


 

電極上に配列させたポリスチレン粒子をテンプレートとして電解析出を行うことで,ZnOのナノカリフラワーアレイやナノウォールアレイなど様々な形状を持ったナノ構造を形成することも可能です。


このようにして形成した酸化物半導体を,私たちは太陽電池の新しい光吸収層材料として利用することを目指しています。


さらに,電極基板材料との格子整合を利用したヘテロエピタキシャル成長により,結晶性が良く,優先方位が揃った酸化物半導体薄膜を形成することができます。製膜条件を調整することで非常に均質で欠陥のない平滑なZnO層や基板から直立したZnOナノピラーまで形態を制御することが可能です。これらの薄膜からは,室温において,欠陥に基づく可視光発光のみならず,励起子再結合に基づく紫外発光が認められており,この手法が高品質なZnO製膜法の一つとなりうることを示しています。


水溶液電解法によって形成したn型半導体のZnO薄膜と,p型半導体のCu2O薄膜を積層することにより,金属酸化物のみで形成された太陽電池を形成することができます。ZnO/Cu2O系薄膜太陽電池に関する研究は,近年活発になっており,変換効率も2005年までの0.3%以下から急激に向上し,2007年には2%に達しており,今後の向上が期待されます。現在,私たちは,これら以外の組み合わせを持つ酸化物太陽電池の研究にも取り組んでいます。


 

加えて,次世代太陽電池として近年商用化が盛んになりつつあるCu(In,Ga)Se2(CIGS)太陽電池のバッファ層として,化学溶液析出法(CBD)によるZn(OS)薄膜の形成に取り組んでいます。CIGS太陽電池のバッファ層として使用されるCdS薄膜は,カドミウムという毒性の高い元素を含むため,これに変わって毒性の低いZn(OS)薄膜を用いることは,環境にやさしい太陽電池の構築に重要です。高輝度放射光施設SPring-8で測定したXAFSスペクトルの詳細な解析により,製膜条件によるZn(OS)薄膜の局所構造変化が太陽電池特性に及ぼす影響を調べています。

 


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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 革新的太陽光発電技術研究開発(革新型太陽電池国際研究拠点整備事業)「高度秩序構造を有する薄膜多接合太陽電池の研究開発(酸化物ワイドバンドギャップ)」(2008-2014)

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 太陽光発電システム次世代高性能化技術「フレキシブルCIGS太陽電池モジュールの高効率化技術」(2010-2015)

科学技術振興機構-戦略的創造研究推進事業(JST-CREST) 太陽光を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出(有機太陽電池のバンドギャップサイエンス)(2009-2014)

JSPS-科研費 電気化学ヘテロエピタキシャル成長による高効率酸化銅系薄膜太陽電池の構築 (2010-2012)

JSPS-SAKURA Electrochemical Construction of High Quality and Nano-Structured Oxide Photovoltaic Devices (2011-2012) ( Collaborated with Centre National de la Recherche Scietifique (CNRS), Ecole Nationale Superieure de Chimie de Paris(ENSCP))

 

 


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